詩の日めくり 二〇二二年七月一日─三十一日/田中宏輔
る。詩人のつぎの言葉が印象的だ。「「われわれは盲目なのです」とロリモンドはいい「ことに詩に関しては」と付け加えた。」(ピーター・S・ビーグル『死神よ来たれ』伊藤典夫訳、28ページ・20行目) 死神は代価を求めた。自分の代わりに、新しく死神になる者が必要だと。つぎつぎと名指すが却下する。詩人には、「人生についてあまりにも知ることが少ないから、それに、わたしは彼が好きだから」と言った。さいごに主催者の伯爵夫人を名指して、「どうやら、あなただけのようですね。わたしはあなたを選びます、ネヴィル夫人」と言った。理由は、「人間でいることに、あなたほど飽いたものもいなければ、生きていることの空しさを、あなたほど
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