歓喜の歌から逃げだして/ただのみきや
 
色ひとつわからない
声を聞こうと思っても
ひとことだって喋ってくれない

いつのまにか日はかたむいて
影はどんどんノッポになって
すごく立派に見えてくる
さびしいものにも見えてくる

自分らしさにこだわっても
そんなことには無頓着でも
はたから見れば違わない
たんなる他人見たままそのままの

十人十色の色メガネ
知らぬが仏の知ったかぶり

自分らしさを追い求め
世界一周旅しても
見つめているのは影ばかり
どこにいたって同じこと

立派な自画像書き上げて
いいねと言われりゃ味占めて
世間の評価ににじり寄る
みなに好かれる自分らしさへ

十把一絡も
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