歓喜の歌から逃げだして/ただのみきや
 
絡も鳴けば撃たれる
八分にならない自分らしさで

自分のことは知らないけれど
影踏み遊びの好きな子は
いつもひとりでかけて往く
夕陽を背にして誰よりはやく

逢魔が時の向こう側
やっと安心できるのだ
大きな影に迎えられ
そのふところに抱かれて





拒絶

喃語が空を咀嚼する間に
こころは燃え尽きる
背中をまるめて屈みこみ
ペン先で灰をまさぐって
燃え残ったなにかを探していた
ことばが萌え出る季節
頭の上に乳歯がふり注ぐ
ひるむことなく
わたしは希望を拒む
素足のように交換された
脆くても壊せない
石の膝まくら
置き去りにされた耳から
液化した時計その
     らせん状の祈り
ただ逆らう
    この腰のらせん



             《2022年11月19日》








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