反動/ホロウ・シカエルボク
 
て裏返ったり、踊りながら少しばかり移動したりしている、そんな様子が聞き取れるくらいだ、生きものが―例えば野良犬なんかが、俺が食えるかどうか考えながら身を潜めているといったような感じはまるでしない、おそらくここには生きものと呼べるようなものは存在しない、ただ無音の川があり、その周囲に必要な最低限の環境が、可も不可もない感じで設えられている…言うなればそんな感じだ、けれど、それがこの世界のすべてなのかどうかは、なんとも言えない、しかし少なくとも、なんらかの理由によってこの場所にフォーカスが当てられていることだけは間違いないようだ、なにもするべきことを思いつかなかった、そもそもこんな場所に居る理由すら釈
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