詩の日めくり 二〇二二年五月一日─三十一日/田中宏輔
て、妻には幽霊が見えるのだが、ある日、暗闇から影が忍び込み、彼女の生命力を奪ってしまう。というお話だが、叙述が平凡で、影も不気味さがたいしたことのないものであった。もっと怖いものにできたであろうに。
二〇二二年五月十日 「お人好(よ)し」
9作目は、ジョン・ウィンダムの「お人好(よ)し」蜘蛛蒐集家の旦那を持った妻の話。ある日、旦那の捕まえた蜘蛛が話しかけてきたのだ。その蜘蛛はギリシア神話に出てくるアラクネだった。一日だけ立場を交換することにした。約束は守られた。アラクネは蜘蛛の習性で、妻の旦那を食べていた。
さいごの10作目は、キース・ロバーツの「スカーレ
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