剥き出しの鉄を打ち鳴らす/ホロウ・シカエルボク
 
などあっという間に終わってしまう、廃業してしまったタワーパーキングにバリケードの隙間から潜り込み、呪いの言葉を叫びながら剥き出しのコンクリートに頭を打ち付けるも、血が流れるばかりで砕けるなんてことは決してない、貪欲な人間ほど頑丈に出来ているのだと、はみ出した鉄筋の切れ端が笑っている、がらんどうの建物にこだましてそれはまるで、もう二度と来ない夏の記憶みたいだ、人間が人間を殺すときに必要なのは明確な武器の存在だ、俺は階段を駆け上がる、最上階から見えるこの街の景色は、きっとこの世の果てに違いない、ツクツクボウシの声が聞こえる、ツクツクボウシ、なんでそんな風に鳴こうと思ったんだろうか、どうでもいい割になか
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