剥き出しの鉄を打ち鳴らす/ホロウ・シカエルボク
 
届くことのない願いを掲げながら満面の笑みで街中を練り歩く、餌に群がる蟻の半分にも満たない真剣さでダラダラと続く列は、まるで擦り切れた安保闘争のなれの果てだ、公園の土を掘り起こして、産まれることの出来なかったツクツクボウシのサナギを拾い上げ、どうかいまからでも産まれてくれないかと懇願する俺は、もはや季節の変わり目すら神の策略かと疑っている、夏はもう逝ってしまったんだよと街角の詩人が精液のようなロマンチシズムを振りかざし、トサカに来た俺は大人のおもちゃでそいつを刺殺する、通りがかった三人の女子高生がそんな俺を指さして大声で笑いながらどこかへと去っていく、返り血に塗れた俺はまるで時代遅れのスプラッター映
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