残された怠惰/岡部淳太郎
らも他者からも一人になったことを告げられているのであり、それだけその事実が心の上に重くのしかかっているということになる。しかしながら、この怠惰はどういうことだろう。一人になったという事実の重さがあるはずなのに、いまの僕はそれをあまり真剣に受け止めていないように見える。それどころか逆に、独りの気楽さに溺れて、待ってましたとばかりに怠惰を楽しんでいるかに見える。監視する者がいなくなったことの気楽さを謳歌しているようでもあるのだ。
だが、それはきっと表面上はそう見えるというに過ぎないのだろう。表面の現象の裏には別の気持ちが隠れているのは人の常だ。僕の場合ものほほんと怠惰に溺れていて、その裏ではどこか
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