残された怠惰/岡部淳太郎
息のような
最後の暑さを味わう余裕もなく
何もかもから離れて
いよいよ一人になって
これから訪れる季節に
耐えるための準備を始めなければ
そうして 自ら離れていかなければ
母が亡くなった翌日
最後の日の名残りのなか
車が一台も停まっていない駐車場に
大量の蜻蛉が飛んでいた
彼等は僕の頭上から
おまえはこれから
こうして生きていく他ないのだと
しずかに告げていた
(「秋のはじまり」)
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この詩は母への追悼というよりは、母を最後に家族のすべてを失った僕が茫然としている、その気持ちを表したと言った方が近い。亡くなる前、母が乳癌でかなり進行していて、もはや抗癌
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