残された怠惰/岡部淳太郎
 
とで後ろ盾になるような者もなくし、生き方を知らないままこの世に放り出されたということになるのだ。こんな僕がこれからどうやって生きていけば良いのか、訪れた怠惰の中で僕は考えた。いや、感じたと言った方が良いだろう。いったいどうしようと多少の焦りの気持ちとともにあると言えば、僕の心的現実に近い(完全にその通りだというわけではないが)。母が亡くなった翌日、母の遺体を葬儀屋に安置したまま葬儀についての話し合いを済ませた帰り道、秋口にさしかかった季節ということもあって、大量の蜻蛉が飛んでいるのに出くわした、家に戻った僕は一篇の詩を書いた。

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もうすでに
何もかもが離れていった
吐かれる息の
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