残された怠惰/岡部淳太郎
 
ようもない怠惰だったわけで、これはちょっと笑えない話のような気もする。なんとも詩人らしい話じゃないかという感じがしないでもないが、冗談を言っている場合ではない。僕は精神的には元から孤独であって、そのために誰かから何かを教わるとか、人生において人々の波の中で揉まれることで生きるすべを学ぶというような、普通の人が採りうる道を歩んでこなかった。ということは、何も知らない子供のような状態のままだということであり、そんな僕が精神だけでなく物理的にも本格的に孤独に陥ってしまったらどうなるか。答は火を見るより明らかであろう。
 つまり、僕は生き方というものをほぼ知らないまま大人になり、家族をすべて失ったことで
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