残された怠惰/岡部淳太郎
 
ために、特にショックというようなものはなかった。ただ、やはりどこかで茫然とするようなものはあった。気ままな独身生活の中で一人消えさらにもう一人消えというふうに家族がいなくなり、とうとう本格的に一人になった。そのことに対する茫然とした気持ちである。経済的にはわずかながらの保険金が手元に転がりこんできたために、生来の気楽さにますます拍車がかかって、ほぼ毎日怠惰な時間を過ごすこととなってしまった。
 そう、この怠惰な時間というのがポイントで、僕は家族のすべてを失って一人になったことで、生来の怠け癖がまたぞろ頭をもたげてきたようなところがある。一人消え二人消え、最後の一人が消えて残されたのは、どうしよう
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