完全な闇が取り払われるとき/ホロウ・シカエルボク
 
のだ、それを受け取り、自分のどこかに張り付けることを拒みさえしなければ、ある程度のものを手に入れることが出来る―もちろんそれは、ある程度以上のものでは決してない、わたしはいつだってかれらの集まる喫煙室には寄り付かず、どこか風通しのいいところを見つけて座り込んでは、ロック・ミュージックや詩に関する本なんかを読みながら過ごした、お気に入りのアルバムのブックレットを持っていって、歌詞を読んでいることもあった、なにかについて考えること、その結果を自分自身に還元すること、それ以外はなにも大事ではなかった、思考すること、思考することだ、わたしはいつでもそんなことを口にしていた、そうしなければ自分自身の、もっと
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