完全な闇が取り払われるとき/ホロウ・シカエルボク
 
っとも大切な部分が失われるように感じていた、麻痺して、硬直して、やがて凝固してしまう…そんな不安がいつもどこかにあった、いま思えばその予感は正しかったし、それから逃れるためにしてきたこともなにひとつ間違いではなかった、わたしは一番不安な時期を曖昧にしなかったのだ、完全な闇の中で、見事なまでにもがき続けたのだ、さあ、もうすぐ蝋燭が燃え尽きようとしている、部屋の明かりをつけて、久しぶりに詩集でも開いてみることにしよう、今夜はまだ眠らなくたっていっこうにかまわない…。


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