理由/ 湯 煙
 

 
 肩車───父や母。大人たち。乳母車の匂い。
      三輪車に跨がりペダルを踏み込み、
      ハンドルを握りながら、
      誰かの肩の上で、
      限りない道の先まで鳥の目になり、
      周囲に広がる景色を見渡し心弾ませ、
      ゆらゆら揺れ動く高く青い空に腕を伸ばし、
      ぐんぐんと開かれていった小さな手のひら。

(一定の空気圧により適度に弾力を保ちながら回転する漆黒の車輪は性的な魔力を発揮している。

(F1のレーシングカーの蟻や蜂を思わせるくびれたデザインのボディに取り付けられ、その縁がシャープに隈なく面取りされた大き
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