コンビニとかで売ってるグラマラスバタフライ 三分バージョン/モマリサ公
 

高速道路の高架下をくぐって
アクセルを踏み込む
様々な壁面に「タギングされた文字たち」があふれ
リストカッターの薄く汚れた包帯に巻かれた
無言の腕ががっつり
つり革をつかみ
ドラックディーラーの
「丁寧に開ききった瞳孔」に
秋の光が吸い込まれ
徐行しているタクシーが涼やかに
すれすれを通り過ぎるのがサイドミラーに写る

我々は無差別なテロリストが
「最初は赤ん坊だった」
ことを忘れないが
生まれてくるこどもが
「いつか通り魔になる」
ことも予測できない
繁華街の街路樹を
おおう空気は生乾きで
血のにじむ肉色の雲は膿を孕み
地下鉄の券売機に
すばやく吸い
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