永いひとつの息の向こうから/ただのみきや
つの完成しなかった街がたらいの水で泥に帰る
壊れたラジオを分解する以上のことはなにもなかったが
首の短いキリンのように木の枝には届かず股下を覗いている
やがて風の声が縄のように四肢を縛り付け
マグマは容易に大地を引き裂きわたしを飲み込んだ
一瞬で燃え上り蒸発し炭化する
歩道に張り付いた意味不明のピクトグラム虚無の微笑み
自分自身が丸薬のような時の糞だった
手遅れの枕で金魚が踊っている
はだけた季節が宙に一瞬ゆらいで
再び歩き出す 劣化するものたちのつぶやきに食まれながら
そこにある見えない被膜に気付かずに不眠の眼差しに晒されて
いつの間にきみは夕方だったのか
ネジ
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