永いひとつの息の向こうから/ただのみきや
のように肢体の法則の中で自らに溺れてしまう
わたしたちは互いの双六盤だった
二本の指でモンローウォークしながら出来事には独自の解釈
すべての心地よい響きの横やりが意味の駒を流失させるのに任せ
時を微塵切りにしては人生を薔薇色の血だまりへ変えていった
「今さら死が若返るものか」
子どもの乳歯を舐めながらもわたしは蛇の舌先を求めている
頭の中で冬の紙袋が一つ割れる音がして
ジグソーパズルがぱらぱら降って来た灰色の歓声のように
きみが暦の上に蜘蛛を見かけて笑った日
金庫の中ではアルビノの心臓が自分の叫びを吸い込んでいた
昨夜も消えないロウソクが財布と交尾していた
机の下で一つの
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