永いひとつの息の向こうから/ただのみきや
えばシャツの中を歩きまわる二匹のテントウムシ
それがわたしたちではないかと思うと
なにかしらの死を拾ってはポケットへ入れてしまう
一台のオートバイが走りながら頽れて土に還ってゆく
音も無く笑い転げるように白骨は風にとけた
たぶんわたしのことだろう
いつのまにかサイコロ状の雨が確率をあざ笑い
まどろむ耳を食まれてよだれを垂らしている
二つ目の丸薬 またもクソ踏む
「死が若返る」そんな声が雑木林から聞こえて来た
生まれつき裏返しの毛皮を持つハリネズミのような男が
キャンディーの包み紙の中でもがいている
赤子のように無力で強欲な祈りの鎌首をもたげるが
その意思は水のよ
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