記憶の奥/余りに早く亡くなった元義母へ/ひだかたけし
に 隔てられ
いつも 解離した現実を 眺め
娘が産まれた時、
諏訪の義母は電話口で
開口一番、言った
異常はないんだよね?
奇形ではないんだよね?
わたしにはわからない、
その発想が家系図が
血の遺伝の危惧の確認が
その切実な響きが声が
オマエ、先ず存在が、
新たに生まれた歓び、
在るはずだろう、
響き合う共感が、
お義母さん、共有したかったんだよ
薄い壁一枚隔てられた驚きを喜びを
それは単なる記憶像デハナイ情景デハナイ、
今にも立ち上がる
一つの違和、一つの瞬間、一つの光景
魂の奥底を探る
己という混沌に沈み
愛はアッタか?
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