記憶の奥/余りに早く亡くなった元義母へ/ひだかたけし
 

他者を生きる
他者へ変容する
その瞬間が現実が
内面のリアルが

愛を感じたことが在るか?
アイヲ感じたことがアリマスカ?

散開する時の断片、夏は去り
この秋口にて再び秋雨に濡れ

ヴラマンクの野性
ヴラマンクの荒涼
表出された一光景

記憶の億を掬い、
魂の孤独に佇む、

全て、スベテ、投げ出し放擲し

  *

叫び、裂ける
記憶の奥に佇み
記憶の億を掴み

ただただ、わたしは畏怖する
ただただ、わたしは優しくなる

神々が踊る躍る
夢見の頂きの透明な湖面に

内底から、沸々と木霊し
涌出する、意味以前の声のヒビキ

遠い遠く絞り出される言葉、揺動し
言葉は声は言葉に声に溶け、到来し










U2『POP 』の残響の渦中にて

戻る   Point(2)