ジェネレーション・テロリスト/ホロウ・シカエルボク
 
どんと不安定になっていった、銃を手に相手に突き付ける度に、この男はもしかしたら酔っ払いに化けた警官かもしれないなどと考えるようになった、俺は誰かを脅しながら自分が一番怯えるようになった、潮時だ、と俺は思った、まともに働いて生きる時が来たんだ、そう決めて銃を捨てた、それだけで心はとても楽になった、仕事を探し始めたが、半年のあいだどこにも雇ってもらえなかった、そりゃあそうだ、卒業もしていない、職歴のひとつも無い三十代半ばの男、まともに働けるなんて思われるはずがなかった、絶望しかけたころにようやく、深夜のビル清掃の会社に拾ってもらうことが出来た、俺は生まれて初めて人生をまともに生きるのだという思いに満ち
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