詩の日めくり 二〇二一年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
は驚いてお互いに顔を見合せた。彼女たちは今、昼顔がそのときまで、一度も笑ったことのないのに気づいた。
 (ケッセル『昼顔』六、堀口大學訳)


二〇二一年十三月十三日 「断章」



 教えたり説教したりすることは、元来、人間の力に余るのかもしれない、とリリーは思った(ちょうど絵具を片づけているところだった)。高揚した気分の後には、必ず失望が訪れます。だのに夫人が夫の求めに簡単に応じすぎるから、余計に落差が耐えがたくなるんですよ、と彼女は言った。
(ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』第一部・8、御輿哲也訳)


二〇二一年十三月十四日 「断章」


 それにしても、どう違
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