詩の日めくり 二〇二一年十三月一日─三十一日/田中宏輔
詩人であり──藝術家ではない。
私はここに閑人の修辭家として、何か微妙にして徒らな区別をつけようなどとするものではない。藝術に対する礼賛を詩の軽蔑にまで推し進めた一派(ここに於ては私はマラルメ同様エレディヤもそうだと言う)のあとに來たジャムが、こうした極端を制御するために、藝術に対して殆ど完全に盲目的な態度を持さねばならなかつたことを、私は非常に重要なことだと思う。何ものも彼の自信をみだすものはなかつた。なぜならばそれ以外のものを見る眼を持たなかつたから。私はアンリ・ドゥ・レニエやヴィエレ・グリファンがより少く詩人であるなどと言うのではない。(ところでそう言おうと思えば言える。)
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