詩の日めくり 二〇二一年十三月一日─三十一日/田中宏輔
(ジイド『ジイドの日記』第二巻・1910・十月二十日日、新庄嘉章譯)
二〇二一年十三月八日 「断章」
ジャムから、彼の沈黙以上によそよそしい手紙が來る。不幸なことに、明らかにこれは、友情が急激に目覺めて書いたものというよりは、最近の詩を私にほめられた悦びで書く氣になつたという代物。この手紙によつて、私たちの間にはたしかに單なる誤解以上のものがある、つまり、私が密かに怖れていた通りに、多くの文學が、傷つけられた文學があるということを、あまりにもはつきりと感じさせられる。
(ジイド『ジイドの日記』第二巻・1911・二月、新庄嘉章譯)
二〇二一年十三月九日 「断章」
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