詩の日めくり 二〇二一年十三月一日─三十一日/田中宏輔
は常に、自分を實際以上に貧しい、單純な、つつましい人間のように相手に思いこませたがつている。(あるいは思いこませようと努力している。)
(ジイド『ジイドの日記』第一巻・1902・三月二十七日、新庄嘉章譯)
二〇二一年十三月四日 「断章」
ガリエールの死んだ時、レイモン・ボヌールに手紙を書いたが、その返事として、素晴らしい手紙が届く。だが、次のような氣にかかる文句がある。「フランシス・ジャムから、私の生涯の哀しみの一つとなるような手紙を受け取りました。」
何か重大な事件がある毎に、ジャムには本當の親切さが缺けていることが新しく暴露される。
(ジイド『ジイドの日記』第二巻
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