詩の日めくり 二〇二一年十三月一日─三十一日/田中宏輔
を上げて、すぐそばまで来てる──。漂泊者はぶつぶつつぶやきながらほこりっぽいアラブの街を去っていった。
「彼はどこだ」
投映塔は聞き、嗅ぎ回り、都市のすみからすみまで調べた──。アメリカの夜明けの言葉は私の目前で色あせた──。涼しい病院にはバラの壁紙が貼ってある──。?ミスターブラッドリー、ミスターマーチン?は洗いざらしのシャツを着込み、外へ出た──。星や駐車場やカビ臭いキチン宿──。君の頭脳を占領している異なった太陽──。記憶を巡り青ざめた光──。
(ウィリアム・バロウズ『ノヴァ急報』色彩復活、諏訪 優訳)
二〇二一年十三月三日 「断章」
フランシス・ジャム。彼は常
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