腸腸夫人/ただのみきや
 
神の破顔のヴァギナに挑みかかり
飲み込まれては混沌へ回帰する
なん度身ごもられ
なん度生み出されても
母神を犯そうとしては母胎へ回帰する

歴史は礼服のようなもの
われらの英知もまた一定の傾斜を保つ灰の山

夜の海で目を洗う
目は無数の死者の声を嘔吐する

わたしが宿した真珠
階段も梯子もないところで青と争う踊り

口を塞がれたまま男は下着を脱ぎ続けている
死と和めない集団の碁石のような軋みの中で

おもちゃ箱が歌っている
蜘蛛の巣に架かったままの兵士たち時計の中で

握りしめた種子と頬を濡らす快楽
後ろ向きにスキップする首のない子どもたち

象形文
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