詩の日めくり 二〇二一年十二月一日─三十一日/田中宏輔
ていた、いつも見馴れた場所に、夜の気配、夜の色や、静寂や、孤独が忍び寄り、それがおがくずだとか、チョークの粉だとか、インクや削られた木の匂いなどを消して行くようであった。
(フエンテス『脱皮』第二部、内田吉彦訳)
二〇二一年十二月八日 「断章」
石?
(フエンテス『脱皮』第二部、内田吉彦訳)
二〇二一年十二月九日 「断章」
私は賭博場を覗かせてもらえるように頼んでおいた。
お客たちが自らの損得を賭(と)して挑んでいるのだから、きっとそれに見あった複雑なゲームが用意されているに違いない──そう考えていた。ところが、かわりに、そこで見つけたものは
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