「夏の思い出」の詩人、江間章子/藤原 実
秘密をたれもしつてはゐないのだ。
夜は、盗まれた表情を自由に廻轉さす痣のある女を有頂天にする。
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これは、泣きはらして殻のようになっていた感情を脱ぎ捨てて、言葉を電流のように世界に走らせるのだ、そんな詩人ーーー言語という他者を身にまとう者ーーーとしての彼女の決意宣言のようにも思えます。
これは決して「解釈」ではなく、私の興味に引きつければそう読める、腑に落ちる、というだけの事に過ぎませんが。
左川ちかは知人に出した手紙に次のような夢を語っています。
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お金が出来たら、銀座のやうなところへ江間章子さんと店を出したいと話してますの。江間さんは帽子屋と寫眞屋、私は本屋
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