「夏の思い出」の詩人、江間章子/藤原 実
 
のいざない:現代詩の理解と作法』(柴田書店)という詩論集の時点ですでに毛沢東を賛美する詩を書く中国の詩人たちを肯定的に評価しているので、もともとそっち系の人だったのだろうという気はします。
百歩譲って、毛沢東を英雄視しようが金日成を賛美しようがそれは思想の自由の範囲と考えるとします。それよりも私が残念に思うことは、この頃の江間章子が自らがかつて信じたモダニズムの美学を捨ててしまっているということです。

江間は『詩へのいざない』のなかで春山行夫のコトバを引用して自らも信じるモダニズムの詩学を述べています。
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詩人は用いる言葉に責任を持たなければならないし、持っているのがふつうなの
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