「夏の思い出」の詩人、江間章子/藤原 実
なのだ。
しかしそれがあまりにも乱暴な用い方であったり、客観性を失ったものではいけない。
詩は絶対の境地で行動する、もっとも平均のとれた人間性の姿でなければならない。
わたしは、詩人の仕事は、ひとつの言葉を選んで取りあげても、結果としてはその言葉の解放を目的とするのがほんとうだとおもう。
捕えた蝶の種類を虫ピンで止めるのではなく、あべこべにピンをとりはずしてもう一ど蝶を蘇生させ、よろこびの蝶を飛ばしてやるのが言葉に対する詩人の考え方でなければならない
(『詩へのいざない』)
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そのとおりだ、と私も思います。しかし、この本から十年後に彼女が書いたのは次のようなものです
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