「夏の思い出」の詩人、江間章子/藤原 実
ゐる氣持だ
優しい聲も言葉もレコードをかけてゐるやうだ
ちやうどむかし、貧しかつた室に女優のポートレエト一枚貼りつけてゐたやうな
オレンヂ色の太陽よ
お前は夜でも出てゆくのか
ぼくはシネマへ行つて音樂を聞かう
春には最初のすみれの花束を貴方にあげませう
けふも永遠のイメーヂに雨がふる
夜
膏藥を貼った木も眠る
櫻草よ、その微笑が戰場を愉しませる
悲哀を繪にかきませう、かのプロフイルとならべて
ーー兵士の手紙ーー
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よくある戦争詩とは違った感じで「すみれの花束を貴方にあげませう/けふも永遠のイメーヂに雨が
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