快楽からの追放者/ただのみきや
行った
季節にはられた切手のように
快楽
公園の横に車をつけて本を開く
枝葉の影がページの上で激しくゆれている
狂った踊り手たち
文字より惹かれてしまう
花びら全部むしりとって核心をのぞくより
かたちやかおりを楽しむほうがいい
目の前にあるそれと
自分の中のなにかが戯れ始める瞬間
ことばはてんで不調法だ
サワレヌカミニ
悲しみが焦げ付いて
穴の開いたカレンダーからこっちを見た
逃げ出したカメレオンが
空虚なカラクリを登ってゆく
傘が咲き乱れ
気配をつなぐ枯れた実を
彩らずに祈る
川向うの恋
霧に隠
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