静かな時計が刻む時間はいつだって死んでいる気がする/ホロウ・シカエルボク
 
誰かに見せるための看板なんて持つべきじゃないよね」俺はポケットに入れたまま忘れていた板ガムの包装を解き、一枚口に放り込む、人工的な甘み、「それは企業努力みたいなものなんだ」と俺は答える、「そしてそれは彼らを何処へも連れて行くことはない」哀しいね、と先人たちは言う、「人の世なんて何年経っても変わることはないものだ」俺は頷く、近頃じゃそれを疑問に思うこともなくなった、静かな時計の針は滑るように動く、俺は一秒ごとに身体を軋ませながら動く、人間は生きている時計でなければならない、なぜなら、このリズムは乱れることがあるからだ、乱れたときに、あの時がそうだとわかるようにしておかなければならない、文字盤を滑るだ
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