静かな時計が刻む時間はいつだって死んでいる気がする/ホロウ・シカエルボク
 
るだけの針では、どこで乱れたのか気付くことは出来ない、そんなシステムの中で耳を澄ませているとわかる、初めの一秒と、三分後の一秒は違うものなのだ、三分後の一秒には、三分間分の一秒がすべて含まれている、文字盤を破壊しながら生きている人間にはそれがどういうことか理解出来るのだ、文字盤を壊しながら生きる、歪んだレトリックが床に散乱している、足元はいつだって破片だらけだ、だからしっかりとしたソールの靴を選んでおかなければならない、邪魔で仕方がない時は蹴っ飛ばしたりもする、目安が目安のままで居られず、すべての基準になってしまう世界、滑稽なのにどいつもこいつもクソ真面目さ、本気でそれを生きようとしていやがる、足元を爪先で片付けながら、今度は文字盤を捻じ曲げてみるべきかもしれない、と考える、それが文字盤である以上、俺もまた静かに動く針のひとつに成り得るのだから。


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