長い漏電/ホロウ・シカエルボク
 
を見ているのだと勘違いしたひとりの教師が一通りツバメの生態を説明してくれた、休憩時間はそれで潰れてしまったが俺はそれから数ヶ月はツバメについてとても詳しかった、授業を離れた教師の話は不思議なほど面白かった、でも冬が来る頃にはツバメのことは忘れた、その教師はそれからもなんどか渡り廊下を歩いたが、俺がツバメの巣を見ているわけではないことに気付いたのか二度と話しかけてはこなかった―誰とも口をきかず渡り廊下で呆けている俺を級友たちは変人と呼んでいた、なぜそんなことが必要なのだろうな、と俺は他人事で聞き流していた、思うに彼らは、誰かと同じように生きている自分が誇らしいのだ…でも、何故だ?それはとても馬鹿なこ
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