森の地図/soft_machine
 
減った父の形をしていた
温かいのか
それとも寒いのか
記憶にない感触に戸惑う
いまだに知らないことがある

するとこれは 記憶を引き裂く新雪
もしかすると 溶けもしない

父さん
あなた 骨ではなかったのか


  *  *


人は森では一度ならず迷わなくてはいけない
進み方が違う緑に対し
せめて人間らしく
気侭に伐って剥き、手頃に継ぎ被せ
元に戻せなくなって
見失うことでしか辿り着けない
例えば墓地の懐かしさと
ここの湿度は、どこか似ている

水の音がするほうへ
辿る誰もがどこか頼りない
けれどだから笑い合えるし
包み合えるのだと思う

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