車輪の美的側面/菊西 夕座
沸きたつ雛罌粟も
蒼穹をわたる勇壮なイヌワシも 緑にぬれて煌めく星々も
車輪のなかで夢幻のごとく点灯し 視覚を輪廻の渦で酔わしめる
健常の椅子から転げ落ちようと 常に望むのは対等でなくそれ以上!
萎びた足がまとう車輪を盾にとり 交差する憐れみの紫外線をはねかえす
海辺を彩る粋なパラソルのごとく 開花する側面で玉座を飾りつけ
ときには窓に見立てた輪ぐるまを 万華鏡そっくりに回して遊ぶ
輻で区切られた円錐の窓から 手をふっているのはジュリエット
その対の赤い窓からは ロメオが薔薇のキッスを投げている
運命の歯車が摩擦をおこし アスファルトから立ちのぼる旋風
敵
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)