流れるごとく書けよ、女詩人/藤原 実
 
一篇よりも
更に山があり谷があり
貴女の姿のまるみのみえる
逆説的の不思議はそこに
普段着のごとく書けよ
流れるごとく書けよ
 まるでみどりの房なす樹々が
 秋にたくさん葉をふらすやうに
 とめどもなくふつてその根を埋めるやうに
 たくさんの可能がその下にゆつくり眠るやうに



左川ちかなどはまさにこの詩で永瀬が言う「成りがたい彫心縷骨の一篇」を書くために命を削ったような人でしょうが、そんな天才だけに詩を書く理由があるわけではないと私は信じます。
幸いなことに世はインターネット社会です。左川ちかも山中富美子も莊原照子も容易に読むことができるようになりました。彼女たち
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