流れるごとく書けよ、女詩人/藤原 実
 
やうなものだ
雀の啼くやうなものだ
しかし全く竹林にゐるやうなものだ。
 あゝ腐葉土のない土地に
 種まく日本の女詩人よ
 自分自身が腐葉土になるしかない女詩人よ
 なれよ立派な腐葉土に。
 あらゆることを詩でおもひ
 あらゆることを詩でおこなひ
 一呼吸ごとに詩せよ。
 日記をかくやうにたくさんの詩をかけよ
 手紙をかくやうにたくさんの詩をかけよ
失へる日に歔欷の詩を
逢遇の日に雀躍の詩を
無爲の日に韻無き詩を
培かへる日に希望の詩を
戀人のためにわが髪の詩を
子供のためにほゝずりの詩を
兵士のためにマーチを
時々刻々に書き書けば
成りがたい彫心縷骨の一篇
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