流れるごとく書けよ、女詩人/藤原 実
 
されたこともあったーーー。そしてただ下うつむいて無言でそれをきいてゐただけ。父や母も詩をかくことを私の最も大きな缺點とか言ってゐたーーー 。女性としてむしろむしばまれてゐると言ってよい詩人と主婦との二律背反。一日汗を流しつづけ、重荷を負ひつづけて、夫や子供には苦しみなかれと祈るだけ。そしてその汗や、その重荷を私は自分の詩の中に書きはしないのです。私にとつては詩は全くその汗とごちゃまぜにできない純粋な場所ですから。その兩立が私のエネルギーの最大の毒です。」

「天才的女詩人であるよりは、詩なんかを必要とせぬほどに勤勉でやさしい生活的な母親である方が、どれほどいいことだと思はずにゐられません。大地
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