詩の日めくり 二〇二一年八月一日─三十一日/田中宏輔
ら、おれは複数の性器を具有したアンドロギュノス、この若者の肉体に力づけられた天使のごとき姿と化した。自分の体を抱きしめて、同時に体内の若者の体を抱きしめた。
(J・G・バラード『夢幻会社』29、増田まもる訳)
二〇二一年八月二日 「断章」
またしても、おれは自分が降臨暦になったような気がしていた──これらの郊外の人々を彼方の真実の世界に入れてやるために、おれは顔の扉を開き、心臓の欄間をぱっと開放したのである。すでにおれは自分がただの神でなく、他のすべての神々に超越する最初の神、唯一神格ではないかと思うようになっていた。他のすべての神々は、このおれの粗末な先行者、不細工な暗喩にす
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