きみの猫をデッサンする/ただのみきや
 

すべての魚眼レンズが叫ぶ
太陽よ血を流せ
髭剃り後の老人みたいに
暗黒よ笑え
そこにかぼちゃ
あそこにかぼちゃ
漂着するかぼちゃの軍団


臍の緒を首に巻き付けて
男が吹く銀のコルネット
だけどあれはものまねで
みんな聞こえているふりをしているだけ
真っ赤なセレナーデ
進軍 進軍 進軍せよ
涙腺のゆりかごでボウフラは歌う
きみのイヤリングが破裂した
こどもの嘘みたいに
やみくもで純粋な殺意
透かし彫りの向こう
ガラスまみれの心臓
天井から吊るされた
夜の蕾が開いていく
おとぎ話に出てくる通りの現実を想像妊娠して
きみの舌はウエストより太い

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