きみの猫をデッサンする/ただのみきや
もめに喰われ
はらわた散らし波に洗われ
猫は鳴いた
かもめのこころを喰らって飛んで
海と空の間
波打ち際のきみを見た
人間なんてちっぽけだ
猫よりちょっと大きいだけ
逃げろや逃げろ
後ろから鈍器を振り上げる
時間の気配だけが
マイトみたいに次々と
泡沫 裳屑 泡沫
灰を背負った白紙の手紙
耳から狂え
迷子の母よ
すっかり摩耗した
流木たちのおしゃべり
おしっこしていた恋人は
波にさらわれ異国へ行った
貝殻に耳を当ててごらん
奴隷たちの溜息
むせかえるほど果実の潰れた匂い
冷たい糸をたらして
ぐるぐる巻きにした
イカ焼きみたいなきみのために
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)