言ふなかれ、君よ、わかれを、/藤原 実
 
の姿はなんぞ
これぞ、われら、民族に漲る力
大東亞和樂建設の未來なれ

見よ、いまわが濃藍なる畫板の前
昨日まで浮びゐし惑はしの薄繪
欺瞞の文明、搾取の繁榮
米英資本の影映せる蜃氣楼は
わが旭日の意慾の前に消え失せた。
わが旭日の理想の前に消え失せた。

  (『愛国詩集』日本放送出版協会, 1942)


これから自分が描くのは民族のみなぎる力と意欲と理想による雄渾な未来への素描であり、昨日までの浮ついたまやかしの薄っぺらな絵とはちがうのだ、と言うのです。
これは時局に望む姿勢の象徴であると同時に自らの詩法の転換も示唆しているのでしょう。

このような詩人たち
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