言ふなかれ、君よ、わかれを、/藤原 実
そのあとでわれわれは
縄とびをして遊ぶ。
白い美しい花の縄でーー。
(『現代日本詩集』現代日本詩歌集刊行会編 、南風書房, 1947)
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この詩だけを単独で読むと、どうということもない詩で、薔薇は摘まれると心が痛むのにクローバーは縄を編めるぐらい摘んじゃっていいんかい!というくだらないツッコミが思い浮かぶだけなのですが、先程の戦中の詩と比較すると一種異様な感じを私は受けるのです。
5年の間に神は「天皇陛下」から「キリストさま」に、大東亜共栄圏地図はキリスト教会学校の絵カードへ、兵士は「神通力」で「神のつばさを持った」存在から「世界中の無名戦士」へと変わ
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