言ふなかれ、君よ、わかれを、/藤原 実
隊さんが紅葉のやうな血を流している」とか「私は美しい涙を流す」とか、なにいってんだという感じで、まったく評価のしようのない詩なのですが、私が興味を持ったのは同じ作者の戦後の詩との比較なのです。
{引用=『子供と五月の花』 壺田花子
「野薔薇」
キリスト様の白い裳(もすそ)の匂いがする。
日曜學校の繪カード。
子供よ 痛い、
摘むのはお止し。
大人は心の刺まで傷むようだ。
蜂のように 匂いを嗅げばそれで良い。
「クローバー」
花束を編もう。
首飾りを こしらえよう。
大切なお母さんに。
優しいお姉さんに。
世界中の無名戦士に。
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