詩の日めくり 二〇二一年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
スパイになるために身体改造した地球人がいる。男は、戦後、後遺症のせいで一定時間、ぐにゃぐにゃの異星人の姿になるのがいやで機械の精神科医にかかっていたのだが、そこで、自分とは逆に地球人に身体改造された異星人を紹介されたのである。彼女はぐにゃぐにゃの異星人なのだが、彼女もまた一定時間、人間のときは美女だったのである。彼は、人間のときの彼女に惚れて結婚したのである。しかし、また彼女と同様の立場の異星人に惚れて浮気をしたりするのであった。妻は手術でずっと人間の姿になる。しかし、時すでに遅し。彼は手術でずっと異星人の姿となるのであった。異星人であること。それが事業拡大の条件であったためである。めっちゃ嫌って
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