詩の日めくり 二〇二一年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
ろに泊りに行く。その代わりに朝食とお昼代をもらえるというもの。お婆さんは、寝るまえに、光るものを捜していた。娘が見つけると、お婆さんは、その光に向かって通り抜けようとする。通り抜けた。あとで夫も。

 9作目は、コードウェイナー・スミスの「星の海に魂の帆をかけた女」この作品には、抜き出すべき名句がいたるところにある。「母親がさまざまな狂信者とかかわりあったため、ヘレンは鋭い人間観察家に成長していた。」(コードウェイナー・スミス『星の海に魂の帆をかけた女』5、伊藤典夫訳)とか、「人間は星の海でこんなことを学ぶのだろうか? 相手のことを心から気づかい、むさぼり食うのではなく愛するために人に接するこ
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